〜刑法の基礎編〜ビジネスマンのための『法律力』養成講座を読んでみて
ビジネスマンのための『法律力』養成講座 小宮一慶さん著を僕なりにまとめてみました。
内容に興味を持って頂いた方は是非本を手に取って見て下さい。
民法や刑法の話が出ましたが、法学部学生が、基礎的な法律としてかなりの時間をかけて学ぶのが、憲法、民法、刑法です。
今回は、刑法についてまとめました。
「刑法」とは、何をしたら罪になるかということを定めた法律です。
3つの条件が整った時に犯罪として処罰されます。
それは「構成要件」「違法性」「責任」の3つです。
順に簡単に見ていきましょう。
①「構成要件」
例えば、
刑法第199条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
この場合、殺人罪ですが、「人を殺す」という行為をなすことが構成要件に該当することとなります。
②「違法性」
「正当防衛」や「緊急避難」という言葉を聞いた事があると思いますが
第36条 急意迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は罰しない。
つまり、構成要件に合致しても、自己を守る正当防衛や他人を守るためにやむを得ない場合には、罰することをしないというわけです。
③「責任」
よくテレビのニュースなどでも、「責任能力」の有無が問題となることがあります。条文には次の様に書かれています。
第39条 心神喪失者の行為は、罰しない。心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。
行為時に心神喪失(精神障害などにより、判断能力や自分をコントロールできる能力を欠いている)場合には、罰しないということです。
自分の意志で犯罪を行うことをコントロールできたかどうかを問題としているのです。
心神喪失よりも程度の低い心神耗弱の状況では、刑が軽減されると規定されています。
第41条 14歳に満たない者の行為は、罰しない。
との責任年齢についての規定もあります。
刑法では、このように、
①「構成要件」
②「違法性」
③「責任」
の三段階で罪として罰することが適切かどうかを判断していますが、刑法の条文の多くは、「構成要件」と刑罰の重さを規定しています。
民法や刑法以外にも無数と言っていいほどの法律が存在しますが、法律の基本的な考え方が分かっていると、ビジネスや非日常生活で起こるさまざまなことに対してどういう法律が適用され、法律が基本的にどう考えているのかはおおよそ分かってくるようになります。
今回は刑法について取り上げました。
法律は個人の権利を守るものですが、知らなかったばかりに権利を奪われてしまう事があるかも知れません。
それを防ぐためにも、次回は知っておくと為になる具体的な条文を紹介していこうと思います。